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1941年生まれ。九州より上京し60年代より映画技術を学びながら、実験的なアニメーションなどを手掛ける。70年よりポータブルのビデオカメラを購入し、グループ「ビデオアース」を結成し、ソロではパフォーマンスやドキュメンタリーなどの様々なビデオ作品を行っている。インスタレーションなど広い範囲での活動を行っており、ビデオを個人の記録メディアとして、またあるときには生命や宗教的な表現を行う媒体として捉えるユニークな視点をもって接している。

主な作品

「Biological Cycle (part 5)」10min (1982) タイトルは「生物学的循環」の意。フィルムで撮影した素材をビデオに取り込み画像処理されるという、70年代より更新されてきた作品の第五段階。新しい技術が常に組み込まれ、成長してゆくこの作品は正に進化し続ける生命の循環をシミュレートするものである。音楽は当時イギリスから来日するプログレッシヴ・ロックのコンサートの前座をいくつも務めた名古屋出身のバンド、コスモス・ファクトリー。

「Mt. Fuji」5min (1984) 写真家、斉藤庫山の撮りためた富士山の写真を元に構成された作品。今回は5分版の上映となるが、この他に10分版、20分版、60分完全版が存在する。人類が石油を掘り出して燃焼させエネルギーに還元し、そのエネルギーによって今日の電気芸術やメディアアートを可能にするその一方で、温暖化が進んで富士山の永久凍土が年々減少しつつあるという皮肉な側面が伺えはしないだろうか。音楽は民族楽器や打楽器奏者として世界的に知られるツトム・ヤマシタ。

「Dolmen」15min (1987) “Dolmen”はフランス語で、古代巨石文明の墓地を意味する。フランスのブルターニュ地方のカルナックに実在する古代ケルト人の遺跡を舞台に、ダンサー達が岩に文様を刻み込む様とモニターやオープンリールが重なり合うことで、記録メディアに負う現代を廃墟に見立てている。ローマ帝国の侵略やゲルマン民族によって、移動と分散を余儀なくされたケルト人。現代の記録メディアを使う我々が、新たなる帝国の脅威さらされる時、我々は一体どこへ逃げることができようか。

ビル・ヴィオラBill VIOLAは彼の作品「ナント・トリプティック」が中島興の作品「MY LIFE」のシリーズに影響を受けていると話している。 2作品の比較・分析は中川素子著「モナ・リザは妊娠中? 出産の美術史」(平凡社新書 Y860)に詳しい。

中島興ウェブサイト http://www.age.cc/~ko-ko-ko/blog/

(文責:瀧)


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