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1963年、韓国人アーティスト、ナム・ジュン・パイク(白南準 1932-)と ドイツ人アーティスト、ヴォルフ・フォステル(Wolf Vostel 1932-)が、 別々に しかし同時期にドイツにおいてTV画像を歪める実験的作品を、 制作、発表し、 それがビデオアートの始まりとされている。その後、 欧米や日本で、美術家や 映画作家などが次々とビデオを使用した実験的作品を発表し、絵画・彫刻・ 音楽・写真・映画などの既存の芸術分野を 複合・横断する芸術として発展してゆく。

 80年代以降はミュージック・ビデオ・クリップなどの登場により産業と芸術分野の 融合が行われると共にビデオカメラ・デッキの価格の低下による製作者の増加など の理由から、ビデオアートは急速に一般化になり、 ビデオアートは、他のメディアと 混合しながら、特に映像という側面から社会を表現する芸術として、現代美術の 一分野を確立し、あらゆる形で現在の芸術・社会に影響を持ち続けている。

  ビデオアートの表現形態は、モニターやプロジェクターを使用して、 ギャラリーや 美術館で展示を行う他に、パソコンなどの情報機器との接続による観客との 相互作用を行うインタラクティヴ・アートとして、また既存の芸術分野やメディアと 複合しながら空間芸術としてのインスタレーションとして展示されるなど、様々な 形態をとることができる。

  日本におけるビデオアート分野は、60年代後半にドイツやアメリカに続き、 いち早くその萌芽があったものの、80年代にその最盛を極め、ひとつのブームが 去るように冷めていった。 しかしながら90年代に入り、デジタル技術の勃興と、 多くの教育機関にビデオアートを学ぶ学科が設置されるなどして、テレビ環境に 生まれ育った若いビデオアート世代が生まれる。 時を同じくして、バブル経済の 崩壊後、アートシーンの再編とも言うべき時代を迎え、そうした若い世代が、 単なる作品制作と発表を行うのではなく、アーティストの自治グループや団体などを 作ることを欧米の若手作家から学び、表現の可能性の探求と共に、新たな映像/ 情報文化環境を創り出す試みを行っている。


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